仮面ライダーVi: タイトル『回帰線』 第1話(準備稿) 原作・原案 もりもとこうじ 脚色  ○木嶋 針(きじま しん)  仮面ライダーVi: ○美原雪樹(みはら ゆき) ○敷山 ○アナウンサー ○救急隊員 ○少年 ○カマキリ男 □1 天王寺アイラインド テロップ「2004年 冬 東京」   幸せそうに行き交う人々。   クラクション音とともに、小型トラックが人々に向かって突っ込んでくる。   無人の運転席、だが、ハンドルやアクセルは勝手に動いている。   驚き、逃げ出す人々。トラック、Vi:ルの1Fに激突し炎上を始める。   悲鳴を挙げつつ、Vi:ルから出てくる人々。   荷台のプロパンボンベにフォーカス。     ×          ×          ×   Vi:ル、爆発を起こし倒壊する。     ×          ×          ×   報道ヘリが倒壊したVi:ルの上空で制止している。   倒壊したVi:ルに向かって、慌てて走り出す報道カメラ。 アナウンサー「本日はオープン初日という事もあり、多数のブランド目当ての若者が列をなしていました。そのため、多数のケガ人が出ている模様です」   到着する何台もの救急車。重軽傷者が次々と隊員により救急車へと運ばれて行く。   救急隊員、さらに事件現場の奥へ向かう。すると、十数人の重傷患者が完璧な応急処   置を施されている状態となっている。 救急隊員「ど、どういうことだ?」   救急隊員、一人の重傷患者のところまで走り寄り、 救急隊員「おい、キミ! これは……」   重傷患者、震えながら街路樹の植え込みを指差す。   青年、倒れている女性に応急処置を施している。 青年「もう、これで大丈夫です」 女性「ありがとうございます」   救急隊員、青年の背後まで駆けより、 救急隊員「キミ、何を勝手なことを!」 青年「とりあえず重傷者の応急処置はしました。こっちの人達は痛み止めを打っておいたので、余分な麻酔はしないようにして下さい。」 救急隊員「は、はぁ……って、なんてことをしたんだね!」   救急隊員の眼前手を出し、発言を制する。   手品をするような手振りで医師免許だす。   (※手の動きは手首と指だけで。医師免許は運転免許サイズのものを出す。そんなも   のはないのですが、脳内設定ということで……国際医師免許とかウソ設定で変換して   ください) 救急隊員「い、医者……?」   どこから出したのか謎の白衣を羽織る青年。   (※これも手品の要領で。理屈抜きのかっこよさ優先で)   腕時計のアラームがなり、それを見る青年。  「あ! やっばー!! じゃ、あとはよろしくです!」   その場から走りだそうとする青年。 救急隊員「あー! キミー! 名前をー!」  「おれ? (ニヤッと笑って)さすらいのお医者さん。」   呆然とする救急隊員をよそに、走り去っていく青年。 タイトル『仮面ライダーVi:』 □2  荒川河川敷   バイクを押しながら歩いている白衣の木嶋。 木嶋「こんな所でガス欠とは……」   木嶋、腕時計を見て、  「まだ時間があるか……」   木嶋、バイクを止めて土手に寝転ぶ。空は見渡す限りの青空。 ナレーション「デスヤプーを倒した木嶋針=「仮面ライダーVi:」は、MSF=通称、国境なき医師団の一員として日本全国を放浪しつつ、事故や災害の現場に赴き、医療活動に従事していた。デスヤプーとの激しい戦いで負った傷は忘れがたきものではあったが、人々と接する時間とともに癒されつつあった」 ナレーション「医師として人を癒すことが自らの癒しにつながると…木嶋はそう信じていた」   フラッシュバック、蜂女のアップ。     ×          ×          ×   蜂女を戦うVi:(※詳細不明なんでツッコミよろしくお願いします)     ×          ×          × 木嶋「アイツ……元気でいるかな」     ×          ×          ×   木嶋、美原雪樹を抱きかかえ、警視庁へ。   注射器のアップ。雪樹の腕に注射器が刺される。   雪樹、人間の姿に戻っていく。   点滴を受け、眠っている雪樹。     ×          ×          ×   木嶋、手のひらを太陽に透かす。   人ではない『何か』が脈うっている。 木嶋「仕方がなかったんだ……」     ×          ×          ×   雪樹の笑顔。     ×          ×          × 木嶋「今の俺とアイツじゃ……もう、彼女は普通の人間なんだ。人ですらなくなった俺に何が出来るっていうんだ……」   木嶋、握りこぶしを作り、地面を殴る。   握りこぶしから体液(血液なようなのもの?)が流れ、地面が僅かに溶解する。 木嶋「仕方がなかったんだ……」   青空に三角形の凧が上がっている。 □3  荒川河川敷  夕刻   バイクのオイルタンクの中を見つめる木嶋。 木嶋「やっぱ、残ってないな……近くにガソリンスタンドがあればいいんだが」 少年(OFF)「あっ!」   三角形の凧が木嶋の完全に落ちてくる。   少年、それを取りに行こうとして駆け出すが、転んでしまう。   膝から出血し、いまにも泣き出しそうな少年。   木嶋、少年の元に歩み寄り、 木嶋「ほら、ちゃんと前を見なかったからだぞ」   少年、ベソをかきながら木嶋を見つめる。 木嶋「ちょっと染みるけど、ガマンしな」  白衣からミネラルウォーター入りのペットボトルを取り出して、傷口を消毒する。 少年「痛っ」 木嶋「男の子だろ」   少年、鼻をすすり、涙を拭く。 木嶋「よし、気をつけるんだぞ」   木嶋、凧を拾い上げて少年に渡す。 少年「ありがとー! お医者のおじちゃんっ!!! そうだ! はい」   少年、一枚のカードを渡す。 木嶋「ん? お礼かい?」 少年「うん、お母さんが親切にされたらお礼をしなさいって」 木嶋「いい、お母さんだね」 少年「それじゃあ、ありがとね(少年、走り去りながら)お医者のおじちゃんーーー!」 木嶋「おい、こら……ったく」   カードを見る木嶋。   クレジットカードサイズのプラスチック製で表には渦を巻いているような絵が書かれてあり、   下にはSEALと書かれてある。 木嶋「何かのゲームにでも使うカードかな? にしても、これだけもらったとしても…」   木嶋の前髪は逆立ち、2本の束になって硬質化する   (※形状の詳細は設定遵守。以降、触覚と明記します) 木嶋「何だ、この波長? 俺が手にした途端、不思議なパワーを感じる」   木嶋、目を閉じ精神を集中する。触覚が白色化し発光する。   目を開ける木嶋。   カードを持っている手が透けて見える。   (※透けるのがNGであれば、変身後の外骨格が見える) 木嶋「馬鹿な……透視できない……」   近くの陸橋を電車が通って行く。 □4  ビルの地下駐車場   バイクにまたがりながら、カードを眺めつづける木嶋。 木嶋(M)「俺が透視できないなんて……」   裏を見る木嶋、不思議な絵が描かれている。 木嶋「なにかチップのようなものが埋め込まれてるみたいだけど……」   木嶋、診察鞄の中にカードを放り込む木嶋。 木嶋「とりあえず、今日つかった包帯とかの支給を受け取りにいくか」   バイクのエンジンを入れて駐車場を出ようとする。   出口に向かう木嶋のバイク、そこにカマキリ型の人間のシルエットがいる。   (※カマキリ男かは不明。暫定的にそうします) 木嶋「!! デスヤプーの怪人か!」   木嶋、ウィリーをして、カマキリ男バイクをぶつけようとする。   カマキリ男、鎌を一閃してバイクを一刀両断する。   飛Vi:のく木嶋。 木嶋「まだ、デスヤプーの怪人が生き残ってたとはな」 木嶋「変身!!」  仮面ライダーVi:に変身する木嶋。  カマキリ男、ゆっくりとVi:に近づく。  Vi:とカマキリ男の格闘が繰り広げられる。  押され気味のVi:。 Vi:(M)「こいつ、スピードもパワーもデスヤプーの怪人よりもありやがる」  真っ二つになったバイクがガソリンに引火して炎上する。  Vi:、カマキリ男の攻撃でそこまでふっとばされる。  炎上しているガソリンから手が伸Vi:る。  Vi:の両足をつかむ手 Vi:「なにっ!」 アイキャッチ □5  Vi:ルの地下駐車場   Vi:の両足を掴む手。   身動きが取れない、Vi:にカマキリ男は攻撃を続ける。   サンドバック状態のVi:。   Vi:、カマキリの男、渾身の一撃を食らい、地面に倒れる。 Vi:「俺は死ぬのか……だが、それもいい」   雪樹の笑顔。 Vi:「ごめんな、雪樹……」   倒れたVi:に一撃をくわえるカマキリ男。 Vi:「うっ」   その拍子に、診察鞄から散らばったカードに触れる。   カードが凄まじい共振音を上げて、発光して見える。 カマキリ男「グ・・・ゲゲ・・・・・・」   光から逃げようとする、カマキリ男。   Vi:の足を掴んでいた手はガソリンの中に消えていく。 Vi:「なんだ?! 恐れているのか? この光を」   カードを手に取り立ち上がるVi:。   カードは手に吸収され、紋様なようなものが手に残る。   (※アクション上での便宜。設定があるならそれに遵守)   セカンドフォーム「BLUE」に変身するVi:。   腰からVi:ランサーが出し構えるVi:。   襲い掛かるカマキリ男。ランサーと鎌で何合が斬りあう。   手の紋様が光り、カマキリ男の鎌を叩き切る。 カマキリ男「グ・・・グォオゥ」 Vi:「いまだ!」   ランサーをカマキリ男に突き刺す。    ランサーから毒液が注入されていく、黒く変色していくカマキリ男。   カマキリ男、ケイレン起こし、一瞬、動きを止めた後、崩れ去る。   その場で跪くVi:。 □6 同窓会会場のホテルのホール (夜)   既に集まっている木嶋の同窓生たち。   入り口に「城空大学第62回生同窓親睦会 様」の看板。   テーブルの上には色とりどりの食事が並んでいて、歓談や明るい騒ぎが続いている。 男「もしもし、木嶋ー? お前が来なくてどーするんだよ」 □7 新宿アルタ前 (夜)   ワイドビジョンを見上げながら携帯をかけている木嶋。   傷だらけで、ところどころ、衣服が破けていたり、焦げている。 木嶋(肩で息をしながら)「敷山か?……すまん、いけなくなっちゃった」 敷山(OFF)「来ないって……オイ!!……なんかあったのか?」 木嶋「……「あれ」、まだ乗れるか?」 敷山(OFF)「あー、大学の研究室に置いてあるアレか? 耐久試験も済んだし大丈夫だろ。後輩にとっても  いい参考になるマシンだからな、我ながらよく修理したと……おい、木嶋、本当に大丈夫か?」 木嶋「すまん」 敷山(OFF)「おぃ・・・」   木嶋は電話を切り、ゆっくり歩き雑踏の中に消えていく。                         (1話 終) (200字つめ原稿用紙39枚4行) 1